キッチンカー開業について

キッチンカーをこれから開業したい人向けの情報をまとめています。
何にでもそうですが、開業には山あり谷ありです。少しでも情報を入手して、キッチンカー開業に向けて前に進んでいただけたらと思います。

トレンドや情勢について

Googleトレンドで調べるとこの5年間で右肩上がりで伸びています。
弊社お付き合いのあるキッチンカー製作会社や運営会社からも、新規でキッチンカーを製作するには半年待ちなどの話もよく聞きます。
新型コロナウイルスの影響で、ここ1、2年は例年と比べて伸びているそうです。

キッチンカーのメリット・デメリット

キッチンカーを開業する前に、キッチンカーのメリット・デメリットを把握して、開業後のイメージを予測しましょう。デメリットに対する対応策もイメージもしくは対応策を考えることで対応可能となりますよ。

・メリット

①初期費用が安い。

固定店舗型は1千万弱~数千万円かかるのが一般的です。外壁・内壁・看板・什器・厨房設備・食器、デザイン費・施工費・家賃・補償金など、お客様をもてなす空間を造る必要があるので高額となります。
キッチンカー(移動販売)では、車体のサイズや設備によりますが、初期費用で300万~500万円ほどで開業が可能となります。

②家賃がかからない。
長期休業をせざるを得ない場合でも、駐車料金はかかりますが、高額な家賃を支払うことはありません。

③店舗の移動が可能。
集客力があるイベントなどに出店することも可能なため、固定店舗のように出店場所で苦労することはありません。

④先行投資の回収が早い。
固定店舗の場合、固定客が定着するには時間がかかりますが、③のように集客しやすい場所へ移動できるため、先行投資の回収も早さもメリットの一つです。

⑤人件費が抑えられる。
固定店舗と違い、厨房から接客まで全て1人で対応することが可能です。1人で対応することでお客様との距離も近くなるメリットもあります。

・デメリット

①出店場所の確保

売上が見込める人気の場所は同業者が多く、既に他のキッチンカーが出店している場合が多いです。
無断で出店することはできないため、商業施設やイベント事業社に直接交渉する営業力が必要となります。
現在は、空きスペースの専門サイトやイベント情報サイトなどもありますので、活用することをお勧めします。

②一次加工処理(仕込み)の場所が必要
提供するメニューによっては、キッチンカー以外の営業許可取得した厨房が必要になります。
2021年6月より改正・食品衛生法が完全施工されたことにより、給排水タンク容量を約200リットルで営業許可を取得するとメニューによりますが、キッチンカーで仕込みも可能となります。
※「仕込み作業場所の確保について」を参照

③販売資格は有料
必要な資格には、自治体にもよりますが営業許可証で2万円前後、食品衛生責任者証で1万円程かかります。
※詳細は、「キッチンカー開業届とは?」を参照

④固定客がつきにくい
固定店舗とのメリットの1つ「店舗の移動が可能」はデメリットの1つにもなります。移動販売のため、固定客はつきにくい傾向があります。また、「食べログ」や「グーグルマイビジネス」のようなサイトに登録することも難しいですが、SNSを活用したり、商業施設や空きスペースを一定期間契約して固定客を集客しているキッチンカーもあります。

⑤暑さと熱さと寒さ
真夏に狭小スペースのキッチンカーで火や熱を扱うことで車内はかなりの高温となります。熱さ対策は万全にしましょう。
寒さ対策も同様です。エアコンは販売窓口が開放しているため、効率はよくありません。足元に電気ヒーターなどを設置しましょう。

キッチンカーで何を売る?

小スペースのキッチンカーは固定飲食店とは違い、限られた厨房設備となります。販売メニューを増やすのではなく、看板メニューを決めるほうがいいとされています。
キッチンカーのメニューは、定番のクレープやから揚げ、たこ焼き、ピザ、ケバブ、ハンバーガーなどや、差別化を図った珍しい異国料理などがあります。

最も重要で売上に直接つながることなので、看板メニューの決め方はマーケティング戦略を使って決めましょう。

・ターゲティングを行う!

ターゲティングとは、マーケティング用語の一つで、「誰に売りたい」かを選ぶことです。
世の中のみんなに売りたいという考え方ですと、戦略を明確化することができなくなり、売上を伸ばすこともできなくなります。
勝負する客層などを限定し、お客様ファーストで強みを活かしましょう。
客層の例を挙げてみますので、参考にしてください。
「イベント出店」、「ランチ難民」、「ファミリー層」、「スイーツ層」、「買い食い層」など……

例えば「ランチ難民」を更に細分化していくと、主要顧客は男性向け、女性向けなのか?年代は?職業は?購入時間帯は?ランチ平均料金は?など、更に「誰に売りたい」かを選ぶことができます。
また、出店場所によって、異なりますので現地やネットなどで事前調査をすることをお勧めします。例えば、「オフィス街」、「スーパーやホームセンターなどの商業施設内」、「イベント会場」、「ライブ・フェス会場」、「展示会」と多々出店場所候補があります。

ターゲティングを決めていくことは非常に大変ですが、売上を伸ばすためです。頑張りましょう。

ポジショニングを行う!

ポジショニングとは、ターゲティングで決定した客層に対して、求める商品を提供するかを決めることです。競合キッチンカーの商品と比べて、自身のキッチンカーの商品を差別化できるようにしなくてはいけません。ターゲティングで挙げた「誰に売りたい」かを決めたら、合わせた商品を考えましょう。例えば、「ランチ難民」「男性」「20~40代」「社会人:現場系」「購入時間12:00頃」「1,000円」とターゲティングで選別しできたら、ランチ難民は、周辺の飲食店が混雑している、もしくは飽きている。お昼休みも限られた時間しかない。男性で現場関係の職業はがっつり系が定番。メニューは例えば、丼ものやカレー、ご飯ものなど。そこから、他と差別化したメニューを決めていくことがポジショニングとなります。

キッチンカー製作について

メニューを決めたら、次はキッチンカーをしな入手くてはいけません。

「キッチンカー」 = 「店舗」
と考えていきましょう。
固定店舗と比べてキッチンカーの開業資金はリーズナブルですが、それでも数百万円の高額な出費となります。
大事なのは、オペレーションを考えることです。接客→調理→提供とスムーズにコトを進めなくては売上も期待できません。

・「誰に売りたい」
・「どこで売りたい」
・「何を売りたい」
前項の「キッチンカーで何を売る?」で決めたことを踏まえて、キッチンカーを手にいれましょう。

キッチンカーを製作したい方は、下記の「キッチンカー製作について」をクリックしてくださいね。

キッチンカーの入手方法について

キッチンカーを取得するには、3つ方法があります。
・キッチンカー(移動販売車)製作
・中古キッチンカー(移動販売車)購入
・キッチンカー(移動販売車)長期レンタル

どちらもメリット、デメリットがあります。

・キッチンカー製作
キッチンカー(移動販売車)製作の業者は全国にあります。いわゆる、「架装屋さん」です。
メリットは、自分好みにカスタマイズできることですね。
デメリットとして、一般的には中古車から架装することが多いですが、キッチンカーブームの今、キッチンカーに合う中古車を見つけることが困難だとよく耳にします。

どこに依頼するか?
先ずはプロに任せることが一番安心できると思います。キッチンカー製作は実績がある業者に依頼することが大事です。

・キッチンカーレンタル
キッチンカー(移動販売車)のレンタルをしている業者も数多くあります。
レンタル期間は業者によって異なりますが、短期間から年単位の長期プランもあるようです。
レンタルのメリットは、何といっても「テスト」ができるということです。これからキッチンカーを開業したいけどその前に練習として経験を積むことができます。出店場所によっての顧客単価やお客様の対応方法、オペレーション、実際の売上など得られることが多いです。
他にも、レンタル用のキッチンカーは保健所の営業許可を取得していることが基本です。レンタルする業者にどこの営業許可を取得しているのかを必ず確認しましょう。

・中古キッチンカー購入
キッチンカー(移動販売車)の中古車市場は現在かなりの激戦となっています。つまり、キッチンカーをやりたい!という方が増えているため、売るキッチンカーがない状況のようです。
もし中古キッチンカーが見つかった場合には、焦らず内見をして自身の要望に合うかをチェックしましょう。
また、車両や厨房の装備以外にも車検のチェックや過去の事故状況などを確認しないと後々コストがかかるかもしれませんよ。
デメリットとしては、キッチンカーの知見がある販売店ではないと、信用できないところですね。

仕込み作業場所の確保について

キッチンカーで許可されている基本調理は、「簡単な加熱や調理」「盛り付け」です。
「食材を切る」「ソースを作る」「食材を漬け込む」などの一次調理となる仕込み作業はキッチンカーとは別の場所で行う必要があります。
別の場所とは保健所から営業許可を取得した場所となります。自宅のキッチンを仕込み場所にすることはできません。
※食品衛生法改正により一部キッチンカーでも仕込みは可能になりました。

・営業許可施設はどこで見つける?

仕込み場所がないと、キッチンカーは開業できません。
では、営業許可施設はどこで見つけるか。

①既に開業している飲食店のキッチンの間借り
②仕込み場所のシェアサービス
③営業許可取得済のキッチンスタジオやレンタルスペース
④店舗を開業し、営業許可取得する
⑤自宅のキッチンをリフォームする
⑥仕込みの必要がない商品にする
⑦キッチンカーの給排水タンク容量を約200リットルとして営業許可を取得する

①~③が現実的です。最近は間借りのサービスが多くなっておりますので、営業許可を取得する地域で探してみてくださいね。
④は現実的ではありません。すでに店舗を運営している方はこの選択がベストですね。
⑤は実際にリフォームをして、営業許可を得た方もいるそうです。
⑥は、販売する商品に仕込み場所が必要なのか?を担当保健所に確認をしましょう。
⑦2021年6月より改正・食品衛生法が完全施行され、一次加工下処理も可能となりました。ただし、汚染度の高い処理は仕込み作業場所が必要になるそうです。

キッチンカー開業届とは?

キッチンカーで販売する際には、最低2つの資格が必要となります。
①食品衛生責任者証:出店する各都道府県の食品衛生協会
②営業許可証:出店する都道府県の保健所で営業許可の取得が必要となります。

①食品衛生責任者証
キッチンカー(移動販売)で営業を行う際に必ず1名以上の食品衛生責任者が必要となります。
既に栄養士や調理師、製菓衛生師などの有資格者は免除されます。
受講名:
食品衛生責任者養成講習会
受講場所:
各都道府県の食品衛生協会が開催している「食品衛生責任者養成講習会」を受講すること
予算:
1万円前後(受講場所によって異なります)
「外部サイト」公益社団日本食品衛生協会を参照

②営業許可証
各自治体の保健所にて、「飲食店営業」の営業許可が必要となります。
営業許可証を取得するには、①の食品衛生責任者証の保有が前提となりますので、お間違えの無いようご注意を!
2021年6月より食品衛生法の改正され、全国一律の基準ができましたが、地方によっては基準以下でも許可が取れることもありますので、販売をする各自治体で確認してください。
申請場所:
販売する地域を管理する保健所
許可種類:
飲食店営業
予算:
約1~2万円(自治体によって異なります)

保険は必要なの?

キッチンカーは移動販売車であり飲食店です。つまり、飲食店のリスクと移動のリスクがあります。そのため、リスクが現実的にトラブルになった場合に補償できる保険には加入することをお勧めします。

未加入や適用外の保険に加入していなく、トラブルが起きた場合に多額の補償金や医療費、修理費をオーナー自身が負担しなくてはいけなくなります。

キッチンカーと自家用車の違い

【キッチンカーは自家用車とは違う】
先ずキッチンカーは、一般の車両とは異なりカスタマイズした車両となります。
キッチンカーの元々の車両は、1ナンバーや4ナンバーのトラックなどが基本です。キャンピングカーと同様にカスタマイズしたキッチンカーは、8ナンバーとなります。
8ナンバーについて知りたい人は、
特殊用途自動車登録の構造要件(国土交通省)を見てくださいね。

【保険は自家用車より高額】
キッチンカーの保険は、自家用車より保険が高くなる傾向があります。
その理由の1つ目は、使用目的が「家庭用」ではなく「業務(一般)用」のため。
2つ目は、キッチンカーは家庭用の車より事故発生のリスクが高いとみなされる傾向があるため。
3つ目は、セカンドカー割引が適用外になる場合があるため。

では、キッチンカーが入るべき保険を説明します。

キッチンカーで入るべき保険

・自動車保険

自動車保険とは、自動車に関連した損害が発生した場合に、保険会社が保険金等によって損害を補償する保険のことです。

保険の対象内容は下記が一般的となります。
車両保険
契約したキッチンカーの修理を補償する保険。
対人賠償保険
契約したキッチンカーを運転中に他人をケガさせてしまった時に、相手方の治療費や慰謝料などを補償する保険。
対物賠償保険
契約したキッチンカーを運転中に他人の車や所有物を壊した時に、修理費用などを補償する保険。
対物超過修理費用特約
対物賠償保険で補償する事故で修理費用が時価額を超えた場合、その差額を補償する保険。
人身傷害保険
契約したキッチンカーの事故で自分や同乗者が死傷した時に補償する保険。

保険には「ロードサービス」のセット割などもあります。
「ロードサービス」とは、キッチンカーが故障して動かなくなったり、パンクした時に現場まで来てくれるサービスです。

自動車保険の加入には「ダイレクト型」と「代理店型」の2つのタイプがありますが、インターネットを利用して加入する「ダイレクト型」はキッチンカーなどの8ナンバーは取り扱っていないケースが多々あります。そのため、「代理店型」がメインとなります。


・PL保険(生産物賠償責任保険)

PL保険とは、製造・販売した製品や商品・食品(生産物)が原因となり、食中毒や異物混入などお客様に損害を与えた時の補償をする保険です。
キッチンカーを出店する場合、PL保険の加入が必須条件になっているのがほとんどです。